ジェイゾロフトの効果と適応症状について詳しく解説します

ジェイゾロフトについて

ジェイゾロフトは有効成分にセルトラリンを配合した、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)です。元々はゾロフトという名称で発売されていましたが、2006年に日本ではジェイゾロフトという名称で処方がされるようになりました。

日本ではうつ病、うつ症状、パニック障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療を行う際に処方されていますが、アメリカでは上記症状以外にも強迫性障害や社会不安障害、PMSの改善などにも使用されています。

非常に強い効果がある選択的セロトニン再取り込み阻害薬のため、日本の医薬品に関する法律により、ジェイゾロフトは劇薬認定を受けています。そのため、取り扱いの際には細心の注意を払う必要がありますが、それだけの効果を発揮してくれます。

医薬品の区分である「劇薬」とは

ジェイゾロフトは日本の法律上、劇薬という扱いを受けています。劇薬と聞くと一見非常に毒性が強く、服用すると身体にとって有害な医薬品のように感じますが、劇薬と毒薬は全く違う種類の医薬品になります。まず毒薬というのは、日本の医薬品に関する法律である「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」によって、致死量が経口投与で体重1kgアタリ50mg以下の物を指します。それに対して劇薬は致死量が経口投与で体重1kgあたり300mg以下、皮下注射の場合であれば1kgあたり200mg以下の物を指します。どちらも危険性があることに変わりはありませんが、毒薬の方がより危険性が高く、劇薬の方がまだ幾らか危険性が低くなっています。そしてどちらの医薬品も、用法用量を守って使用すれば安全に使用でき、優れた医療効果を発揮してくれます。

ジェイゾロフトの効果

ジェイゾロフトの使用効果についてですが、ジェイゾロフトには脳内物質であるセロトニンが身体に再取込される働きを阻害する効果があります。セロトニンは人間が活動をする上で必要不可欠な物質で、生体リズムの調節、神経内分泌の調節、睡眠、体温の調節といった要素に影響を与えます。そしてセロトニンは脳内で一度分泌されると、身体に再取り込みをされながら情報伝達を行い、各種感情などを引き起こします。

うつ病などの精神的な疾患を発症すると、脳内のセロトニン分泌に影響が現れ始め、健康な状態よりも分泌量が低下します。そうすると、気分の落ち込みや気力の低下、不安、食欲や性欲といった欲求の低下といった、うつ病の症状が現れるようになります。

ジェイゾロフトを服用した場合、セロトニンが身体に対して再取込されるのを阻害します。セロトニンの再取り込みが発生すると、取り込まれた分だけセロトニン濃度が低下しますが、取り込みが阻害されるとセロトニン濃度が低下しない状態になります。そして濃度が低下しない状態のまま、更にセロトニンが分泌されていくと脳内セロトニン濃度が上昇します。そうすると、セロトニン濃度の上昇によってうつ病など精神的な疾患の症状があらわれなくなります。

ジェイゾロフトの適応症状について

ジェイゾロフトの使用によって治療が可能な疾患は非常に多く存在しています。具体的な症状としては、以下のような症状があります。

  • うつ病
  • パニック障害
  • 心的外傷後ストレス障害(PTSD)
  • 社会不安障害
  • 強迫性障害
  • 月経前不快気分障害(PMDD)
  • 過敏性腸症候群(IBS)

これらの症状の原因、どういった症状が現れるのか、そして治療薬にはどういったものが使用され、それがなぜ有効なのかを簡単に紹介していきます。

うつ病

うつ病の発症原因については、未だ明確な答えがでていませんが、精神的なストレスや正確、思考の偏りといった要素が原因となり、脳内物質の分泌に影響が出ることによって発症すると言われています。うつ病を発症すると、身体症状として食欲の低下や倦怠感、頭痛や肩こり、動悸、胃の不快感といった症状が現れます。そして精神症状として、感情の低下や作業効率の低下、苛立ち、無気力といった症状があります。うつ病は脳内物質の中でもセロトニンとノルアドレナリン分泌量の変動が大きな原因と言われています。したがって、うつ病を発症した際にはジェイゾロフトのような選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が使用されます。それ以外にもセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)などが使用されることもあります。

パニック障害

パニック障害は突然の激しい動悸、発汗、頻脈、震え、息苦しさ、胸の不快感、めまいといった身体症状と、死を意識するほどに強い精神的な不安といった「パニック発作」という症状が特徴的な精神疾患です。発症原因は大きく2つのものに分かれており、初回発作は過労やストレスといった生活習慣から発生するものと言われています。そしてその後の発作というのは、初回パニック発作の発生時に感じた不安や恐怖により「また発作が起こるのではないか」という予期不安が原因と言われています。パニック障害の発作は脳内のセロトニンを活発に働かせ、興奮作用があるノルアドレナリンの活動を低下させる事によって治まります。したがって、パニック障害の治療を行う際には、ジェイゾロフトのようなSSRIが使用されます。

心的外傷後ストレス障害(PTSD)

心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、精神的なダメージやストレスによって精神に大きな傷を負うことにより、長期間にわたって精神的な苦痛が持続する精神疾患です。具体的な症状としては、過覚醒と呼ばれる気分の昂ぶり、無感覚と呼ばれる喜怒哀楽などの感情の喪失、抑うつ、不安、集中力の低下、フラッシュバックと呼ばれる発症原因となった要素の追体験といった症状があります。発症原因は上記のように精神的なダメージやストレスで、これらの要素が発生する要因としては暴力的な事故、犯罪、戦争、性的な暴力、誘拐、自然災害への被災やその現場の目撃といったものに始まり、多数存在しています。治療薬としてはSSRIであるジェイゾロフト、パキシルなどが使用されます。それ以外の治療方法としては、行動療法や認知療法、催眠療法といった会話による治療があります。

社会不安障害

社会不安障害は不安障害と呼ばれる症状の1つです。この症状は脳内でモノアミンと呼ばれる神経伝達物質が不足することによって発症すると言われています。具体的な症状としては、人と接する際に過剰な緊張をしてしまう、人前に出た際に極度の不安から手が震えるといったものがあります。重度の症状となると、電話など人と直接対面しない状態であっても、声の震えや手の震えといった身体症状の発生、同時に強い恐怖を感じるようになります。治療の際にはジェイゾロフトなどSSRIを使用し、セロトニンの作用によって不安を抑制します。また、同時に行動療法を行う事によって、症状の治療・改善効果は更に高まります。

強迫性障害

強迫性障害は「強迫観念」と呼ばれる症状が特徴的な精神疾患です。発症原因は特定されていませんが、一般的にはセロトニン分泌量の調節が正常に行われていないことが原因だと言われています。そのため、治療の際にはSSRIを使用し、脳内のセロトニン濃度を上昇させて治療を行います。強迫性障害の症状である強迫観念についてですが、これは「気にしなくても問題ないことに対して思考が集中しすぎてしまう」というものです。強迫観念が重症化すると、思考が行動へと変化し「強迫行為」と呼ばれる特定行為の繰り返しを行う様になります。具体的な行為としては、汚染回避のための手の洗浄、戸締まりをしたかどうかに対しての病的なまでの疑念、行ってはいけない行為に対しての思考が頭から離れない侵入的思考といったものがあります。

月経前不快気分障害

ジェイゾロフトが効果的な症状に月経前不快気分障害(PMDD)という症状があります。月経前不快気分障害はPMSと呼ばれる症状の中でも、精神症状が強く現れる症状を指します。PMDDは月経によってホルモンバランスが乱れ、セロトニンの分泌に影響がでる事によって発生する、苛立ちや不安、気分の落ち込みといった、うつ病を発症した際に現れる症状が特徴的です。したがって、治療に際には脳内のセロトニン量を増加させる働きがあるSSRIが頻繁に使用されます。SSRIの中には効果が強いものもありますが、ジェイゾロフトは比較的効果の現れ方が緩やかなため、PMDDのような一過性のうつ症状に対しても、非常に強い効果を発揮してくれます。

過敏性腸症候群(IBS)

過敏性腸症候群(IBS)は、腹痛やそれに関係する下痢や便秘など,排泄回数や便に関する異常が数ヶ月継続するといった症状が特徴的な疾患です。過敏性腸症候群を発症する原因としては、ストレスが非常に強く関係していると言われています。人間の脳がストレスを感じ、不安を感じている状態となると、腸の収縮運動が活発に行われるようになり、痛みを強く感じる知覚過敏という状態になります。そして腸が活発に動いているため、下痢の症状が現れるようになったり、逆に腸が緊張し痙攣を起こす事によって、便秘になったりと、多くの影響が現れるようになります。治療の際にはまず食事療法や運動療法といった生活習慣の改善を行いますが、それらでの改善が見込めない場合、ジェイゾロフトなどSSRIを使用した治療などが行われます。

まとめ

精神的な落ち込みや不安を初めとする症状が特徴的な精神疾患、これを治療する際に使用される医薬品の1つがジェイゾロフトです。ジェイゾロフトはSSRIと呼ばれる種類の医薬品で、人間の脳内で分泌されるセロトニンが脳に対して再取込されるのを阻害し、脳内のセロトニン濃度を上昇させる働きがあります。セロトニンが再取込されるのを抑制し、脳内のセロトニン濃度を上昇させると気分が落ち着き、精神的な不安といった症状が改善されるため、うつ病やパニック障害、心的外傷後ストレス障害といった症状が改善できます。ジェイゾロフトは非常に強力な効果がある医薬品ですが、同時に身体に対して掛かる負担も非常に大きく、日本では法律上劇薬という扱いを受けています。したがって、ジェイゾロフトを服用する際には用法用量を確実に守った上で使用を行うようにしましょう。

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